蝉しぐれどうせなら8月くらいに読めば季節的にいいかんじの今月の1冊になったんだろうけど、まあそんなこたどうでもいいか。というわけで、藤沢周平「蝉しぐれ」。父親が謀反の罪を着せられ刑死し、忍苦の日々を過ごすことになる文四郎。幼なじみのふくとの淡い恋や、逸平・与之助との友情を交えながら成長し、やがて藩の権力闘争に巻き込まれそれに立ち向かっていく。

藤沢周平は読んだことがなかったんだけど、端正な文章に完成度の高いストーリーで読ませるなぁとおもった。淡々としているながらも情景描写は豊かで美しく、その穏やかな雰囲気がすごくいい。江戸時代を舞台にしているので懐かしいというのも変かもしれないけど、なんかそんな印象を受けた。

苦難を浴びることになりながらも悲壮感が漂うわけでもなく、しっかりと前を向いて努力をする文四郎の姿は実に爽快。決してずば抜けた超人みたいなわけではないのに、昔の男子というのはこんなにも潔くて男らしくて凛々しいのかと。親友である逸平や与之助との篤い友情にも心打たれる。いい小説だった。
Posted by petite-tomo | 2011-04-27 23:15 | 本と映画 | Add Comments
永遠の0弟に激しく薦められて読んだ第2弾。百田尚樹「永遠の0」

今のこの時期に読んだのはちょうどよかったのかもしれない。戦時中の航空隊の生き様を描きながら、その背景にある当時の日本の軍隊の体質が見える。それが現在の日本の政治にもつながって、自衛隊やマスコミ、ひいては日本人の在り方についても考えさせられる。

わたしは太平洋戦争について、世界史の授業でやる程度の知識しか持ちあわせていなかった。具体的にどんな戦いをするのか、いかに兵士の命を軽んじた作戦がとられていたのか、また戦争が進んでいく中で変わっていく戦況といった戦争の仔細を、物語を追いながら知っていく。そのなかで最前線で戦う戦闘機乗りの生き様や心情がよく伝わってきて、なんともいえない気持ちになった。戦争を日常として生きるってこういうことなのかと。特攻隊に限らず、あの時代に生きていた人たちひとりひとりがいろんなものを抱えて生きて、また死んでいったことを改めて考えさせられた。

加えて本作は、零戦はどうすごかったのかとか、戦闘機の空戦のシーンなんかもダイナミックに描かれていて、そういう面白さもある。ただ、現代の人物たちにまつわるとってつけたようなエピソードはまったくもっていらないとおもった。
Posted by petite-tomo | 2011-03-29 20:15 | 本と映画 | Add Comments
今度は、この3ケタ国道を走ってみたい。誕生日にいただいたアマゾンギフト券で、本をどさっと購入(ちょうありがとう!)。で、その中のひとつ。友人に薦められていた、下野康史「今度は、この3ケタ国道を走ってみたい。」である。

わたしはツーリングの際、極力下道を使う。高速乗るとしても行きか帰りかどっちかだけ。もちろん貧乏だからというのも大きいんだけど、ただ目的地に移動するだけじゃつまんないとおもうのね。この本もまったく同じ趣旨で、電車でいうところの各駅停車の旅を楽しんでいる。

読んでいて、自分で気ままなツーリングを楽しんでるみたいな気分を味わえて楽しかった。R254 なんてのは、わたしにとって最も馴染み深い国道ですからね、描写されている風景がありありと浮かぶ。R246 はつまんねー、とか(笑)。関東圏以外でもけっこう走ったことのある国道が収録されていて、R249 のあの能登半島の海沿いの道の気持よさや、四国の与作こと R439 の過酷さを思い出したり。行ってみたいところも増えた。バイクの季節はもうすぐ。またあちこちツーリングいきたいな。

ところで国道つながりでこれもちょうほしくてずいぶん長いことウィッシュリストに入ってるんだけど、なんつーかこう、300円くらいにならんもんかのう(笑)。
Posted by petite-tomo | 2011-02-25 18:42 | 本と映画 | Add Comments
かけがえのない人間この手の自己啓発本(ていうのかわからないけどそのような印象を受けた)は、わたしは好んで読まない。というか、まったく読まない。自己啓発本を見ると、「うわぁ」とおもってしまうタイプの人間である(自己啓発本が好きな方ごめんなさい。悪意はないです)。なんだけど、正月に弟と語り合った時にこの「かけがえのない人間」を激しく薦められたので借りてみた。ちなみに弟は、自己啓発本大好き人間である。大学で著者上田紀行氏の授業を受けて感化されているらしい・・・w

読み始めていきなり愛だのかけがえのない存在だのと連発されると、ちょっと引いてしまう。でもまあ読み進めていくと、結局は自ら動かなければいけない、ということ。自信がないから動けない、じゃだめなのだ。動くことで自信がついてくるのだ。最近いろいろと家族のこととかそれにつながって自分自身のことを考えることが多かったので、なんだかやけに納得してしまった。

本書の論旨からはすこしずれるけど、「お勉強」と「学問」は違う。これ大事なんだよな。「テストが上手い」子供だった著者が、大学に入ってほんとうにその学問が好きで学んでいる人たちを目の当たりにして愕然とするわけである。もし将来自分に子供ができたとき、これをうまく伝えられるだろうか、とおもったりした。
愛して問うものが学問なのです- かけがえのない人間
Posted by petite-tomo | 2011-01-28 19:08 | 本と映画 | Add Comments
ノルウェイの森水曜日なので、珍しく映画でも。「ノルウェイの森」を観てきた。映画館で映画を観るのは、ちょうど1年前の THIS IS IT 以来ではなかろうか。年末になると映画を観たくなるのか? わたしは。友人と話してて話題にのぼったり、少し前に村上春樹が「ノルウェイの森」や「ダンス・ダンス・ダンス」を書いている頃の旅行記である「遠い太鼓」を読んでいたり、ちょっとした怖いもの見たさもあいまって、まあ観てみるか、という気になった。映画を観る前にサクッと原作を再読。最初に読んだのは大学生の時で、当時はなんでこの小説がそんなに売れたのかよくわからなかったけど、多少は大人になっているであろう今改めて読むと、いろいろとおもうところはあった、ような気がする。でもちょっと今は村上春樹のあの文体や独特の雰囲気に素直に入り込める気分じゃなかったかもな。なんとなく。

で、映画。ある程度予想はしていたけど、生身の人間が実際に台詞として言うとこうも陳腐な印象を受けるのかと。なんかもうクライマックスにむかうにつれどんどん白々しくなっていった。それでいてあらすじだけ抜き出すと、とにかく人がどんどん死んで主人公がいろんな女とセックスする話、になっちゃうわけで、どうしようもない。もちろん登場人物たちはそれぞれに過去を抱えていて、それが死とセックスにつながってきて、まあひとつのテーマになってるわけだけど、長編を2時間ちょっとに収めようとするとどうやっても端折られる部分が出てくるわけで、そうなるとますますその部分だけが浮き立つ形になってしまう。テンポも早いから原作を読んでいないならいないでわけわかんなそうだし、やっぱり難しいよね、といったところ。

とまぁコキ下ろしててもしょうがないので、、、映像はきれい。昭和の古臭いかんじなんかはいいなあとおもった。登場人物の服装とか髪型とか、部屋の中の家具とか小物とか雰囲気とか、タクシー初乗り100円とか(笑)。あとは細野晴臣と高橋幸宏。出演してるの知らなかったので細野晴臣がきておおっ、とおもい、高橋幸宏もきたもんだから、坂本龍一もくるか!? とおもったけど、こなかった。あと糸井重里も出てたね。ロケ地に早稲田大学が使われていて、文キャンも出てて、ものすごくなじみ深い場所が出てくるたびに懐かしくてうれしい気分になった。映画本編と関係のないとこではけっこう楽しめたのでよしとする。松山ケンイチはけっこう雰囲気合ってるなとおもった。緑役の水原希子もかわいかった。髪型が特に。
Posted by petite-tomo | 2010-12-29 23:11 | 本と映画 | Add Comments
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